- 成績の時期が憂鬱
- 所見の叩き台が欲しい
- AI技術で効率化できるって本当?
子どもの様子や行動など、教師は所見にも活かせる情報を日々まとめています。
これらの情報を、保護者や本人に伝わりやすくするのが「所見」です。人数が多いので作成の時期は憂鬱になりますよね。
最近話題のAIサービス「チャットGPT」で所見を作る方法をまとめてみました。
「チャットGPT」とは、人工知能が話し相手となって、自然な会話ができるプログラムです。WEBサイトにアクセスし、メッセージアプリLINEのようにAIと会話ができます。
仕事・プライベート・副業・素朴な疑問、あらゆる場面で活躍するので、所見に使わないとしてもぜひ触ってみてください。活用法次第で、授業のアイディア出しなどにも使えます。
イメージはこんな感じです。黄色枠に入力した情報をもとに、水色枠が生成されます。
- 結論
- ・チャットGPTとスプレッドシートの連携で、一気に所見を作れる
・あくまでも叩き台として活用するのが無難
・iPadだけでも可能
・LINEでも可能(制限あり)
・楽なのはNotion AI
有料になることや、無料での制限もあります。環境が変われば追記します。
2023年3月現在でいえば、制限はあれど全て無料で行えます。
AIは教師の膨大な仕事量を削減するツールなので、概要だけでも掴んでうまく活用していきましょう。
タブレットやパソコンで週案周りが整理できる「先生のNotion手帳」はこちら。
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チャットGPTの注意点
有料化されるのはほぼ間違いない
2023年2月現在、アカウントさえ作ればチャットGPTを無料で使えます。
チャットGPTに関する詳しい説明は割愛しますが、膨大な文章データを学習し、即座に回答するために多額のコストがかかっています。
チャットGPTというフレーズを初耳の方は、中田敦彦さんの動画が非常にわかりやすいのでご参考までに。
有料化は間違いないと予想されるので、「ずっと無料では使えない」と知った上でご覧ください。
2021年までの情報しか持っていない(2023年2月現在)
所見を作る上では関係ありませんが、文章生成として使う場合、新しい情報は入ってこないので注意してください。
例えば「総理大臣は誰?」と聞くと「2023年2月現在、総理大臣は菅義偉(すが・よしひで)です」という答えが返ってきます。
本格運用が始まるまでは「最新情報はない」という前提で活用しましょう。
絶対に正しい情報が返ってくるわけではない
所見作成は「与えた文章の要約」なのであまり関係ありませんが、確実な情報が返ってくるわけではないことは頭に入れておきましょう。
先ほどの総理大臣も然り、本当にとんでもない回答が返ってくることもあります。
あくまでも「参考」にしながら活用してください。
チャットGPTで所見を自動生成する方法
チャットGPTを使った連携方法を解説します。
非常に便利ですが、
- 有料になること
- 制限や設定が面倒
- 学習データに使われる不安
上記を加味すると、Notion AIを使った方が安くて楽です。月1,500円程度で雑用から課題作成・問題作成・要約・翻訳なんでもやってくれます。
Notionであれば教師の週案なども管理可能です。
» 該当箇所へジャンプ
以下は制限はあれど無料でAIを使ってみたい人向けの内容として読み進めてください。
スプレッドシートとチャットGPTの連携方法
- チャットGPTのアカウントを作成
- Google Chromをインストール
※Chromの拡張機能を使うため - ChatGPT in Google Sheets and Docsをインストール(拡張機能)
- 「API Keys」からAPIキーを作成してコピー
「Create new secret key」のボタンを押すだけです。 - スプレッドシートの拡張機能から、APIキーをペースト
※エラーが出た場合は、同じスプレッドシートをシークレットモードで開いて同様の操作をしてください。 - GPT関数で指定して文章生成
複雑そうですが、やってみると非常に簡単です。
①、②は簡単なので割愛。正直これだけでもチャットGPTは十分使えます。
③以降の連携方法を簡単に解説します。不明点があればこちらのサイトが参考になります。
インストールが完了したら、「API Keys」のページで、「Create new secret key」のボタンを押し、表示された文字列(APIキー)をコピーします。
スプレッドシートを開き、上部タブの拡張機能から赤枠を選択します。
先ほど「API Keys」で取得した文字列をペーストします。エラーが出た場合はシークレットモードで試してみてください。
ややこしそうですがコピペだけです。ここまで終われば準備は完了。実際に試してみます。
スプレッドシートのGPT関数を解説
ExcelのSum(足し算)などと同じように、「関数」を使っています。 GPTの答えをもらう関数なので、GPT関数と呼んでいます。
GPT関数によって、以下が可能になります。
- スプレッドシートのセル(黄色)+指定した日本語(後述)でチャット GPTへの質問を生成
- チャットGPTから返ってきた答えを表示
例えば上記の例では、子どもの仮名と自分のメモ(黄色枠)から質問を生成します。生成している質問は以下のとおりです。
【生成している質問】
私は教師です。
小学校で受け持っているクラスの〜さんの所見を作成します。
"黄色いメモ"は普段の様子です。参考にしつつ、50字程度でわかりやすく所見を作成してください。
実際の関数の中身は以下のようになっています。自身のスプレッドシートにコピペして動かしてみてください。指定のセル番号は変更の必要があります。
もし関数等がよくわからなければ、後述する簡単な方法を使ってみてください。
【スプレッドシートに入力している関数】
=GPT("私は教師です。小学校で受け持っているクラスの"&A2&"さんの所見を作成します。"&B2&"は普段の様子です。参考にしつつ、50字程度でわかりやすく所見を作成して。日本語でお願い。")
個人情報は使わない方が良いので、実際に使用するときは「Aさん」や「出席番号B」等で代用してください。
かなりざっくりなので、「柔らかい表現で」や「メリットが際立つように」など細かく指定してあげれば回答のニュアンスが変わります。
大量の文章を一気に作成できるのが、スプレッドシート連携との魅力です。
一方、数人作成するぐらいであれば、後述する方法の方が気軽で調整も柔軟です。
チャットGPTでの所見作成はいけないこと?
主観によるので、親や同僚、上司から理解を得られないことは必ずあります。自分から公言はしないほうが良いかもしれません。
これは親としての立場ですが、重要なのは「自分の子供を、教師がしっかり見てくれているかどうか」です。課題があれば教えてほしいし、良いところは伸ばしたい。そのための情報が欲しいのです。
AIがやってくれているのは「評価」ではなく「要約」です。わかりやすい表現、適切な言葉をAIが選ぶか、Google検索して自分で探すか、大差はありません。
AIは普段の様子を見ることはできません。基盤となる情報を集めているのは教師なので、きちんと本質を捉えています。
教師も人間で、勤務時間にも限界があります。機械的にできる部分はAIに任せ、質の高い教育の提供に時間を費やしていくのが一番かと思います。
どこまでいっても自己判断ですが、所見以外にも応用が効く方法なので色々試してみてください。
連携方法がわからない・面倒な場合
チャットGPTは連携しなくても使える
内容の難易度はさておき、API連携は見ただけで敬遠してしまう人が多いのも事実です。
連携が面倒な方は、チャットGPTの画面に直接問いかけてください。大量の文書作成には向きませんが、小規模であったり頻度が少なかったりするなら必要十分です。
通知表の所見のネタをiPad&Apple純正メモアプリで整理する方法などの情報をもとに、AIに頼らずに自分で作成した方が早い子供もいるはずです。
チャットGPTに直接入力する場合は、以下を参考にしてみてください。
- チャットGPTに投げる質問
- 名前はAAさん(出席番号等)
・プリントを〜(日々の様子)
・放課後〜(日々の様子)
私は小学校の教師です。上記の子どもについて所見を書いてください。150字程度で、日本語で、わかりやすい表現でお願いします。
山田太郎さんについての所見を述べます。山田さんは、プリントを率先して配ることができ、自発的に行動する姿勢が見られます。また、休み時間に周りを巻き込んで遊ぶことで、人とのコミュニケーションを大切にし、協調性を発揮することができます。ただし、勉強や授業においては、自主的に取り組むことが少なく、指示されたことしかやらない傾向が見られます。今後は、自発的に学ぶ姿勢を養うことを目指して指導していきたいと考えています。
チャットGPTによる回答から引用
素材が多いほど、質問が具体的なほど、場面が想像できる所見になるので、日々の情報集めに注力してみてください。
積極的に手をあげる、給食をしっかり食べる、忘れ物をしない、授業中に静かによく考えているなど、AIが体験できない現実情報を提供するのがヒトの仕事になっていくでしょう。
チャットGPTはLINEでも使える
認証も会員登録も不要で、LINE友達に追加するだけでチャットGPTが使える方法です。
» (詳細)話題のChatGPTをLINEで使える「AIチャットくん」リリースから3日で20万登録突破 | みんなの便利な使用例を紹介 #AIチャットくん
APIという技術でLINEとチャットGPTを繋げています。コーディング自体もチャットGPTを使うという活用っぷり。
実際に使ってみると、日本語対応で全くストレスなく使えました。
アカウントを作る必要もなく、いつものLINEで気軽にやり取りできます。一番ハードルが低い方法なので、まずはここから始めてみると良いかもしれません。
ただし、無料の場合は1日に使える回数に制限があるのでご注意ください。
Notion AIを使う
当ブログでも、Notionの事例はたくさん取り上げています。実際にNotionで学級管理をしている先生も増えてきているのではないでしょうか。
所見だけでなく、仕事全体を効率化したい方はNotionの導入がオススメです。iPadでも問題なく使えます。
こと教師が使うAIにおいて、安全性の面でNotion AIがオススメです。
ChatGPTは入力データが学習に使われるため、不特定多数に情報が流出する恐れがあります(参考)。
Notion AIは、お客様がデータの共有に同意しない限り、モデルのトレーニングにお客様のデータを使用しません。
引用:Notion AI よくあるご質問
NotionAIは学習データに使われないのが特徴です。
個人情報や機密情報にフル活用しても漏洩の心配がないのはビジネス上では必須機能。
ベネッセの自社専用AIのように、外部に漏れない自分専用のAIを、ノートと一緒に使えるのが最大のメリットです。
Notionは画像や動画、URLなどあらゆる情報をメモしておけるツールです。日常の様子をメモしておいて、シームレスに文章作成できる利便性は、一度使うともう他のツールには戻れません。
週間タスク管理と週案作成にある教師の週案を使えば、週案にメモしたことから所見作成も可能です。
無料で使えるAIツールもありますが、日常的に使うタスク管理やメモ帳と一体化しているNotion AIの使い勝手は格別です。概要は以下にまとめてあります。
» Notion AIの使い方とできること【具体的な活用術も紹介】
AIツールは今後Googleからも登場します。続々と増えるはずなので、使いやすそうなツールができれば記事を作成していきたいと思います。
» Notionって何?一目でわかるサンプルと使い方・始め方
「ChatGPT」で小学校の所見を自動作成する方法 まとめ
- 連携しなくても、十分使える。
- スプレッドシートとの連携で、大量に素早く生成可能。
- AIがするのは評価ではなく要約。要約元の情報はヒトがしっかり集める。
文書だけでなく、劇的なスピードで進化するAI技術。
今後も教育分野で活かせそうな事例は取り上げていきます。
仕事のやり方を劇的に変える教師のiPad活用術もよかったらご覧ください。
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