- 案件のことを聞かれても、情報を探すのに時間がかかる
- 過去の似た案件の対応方法を思い出せない
- 案件の進捗状況が一目で把握できない
複数の案件を抱えていると、このような悩みを感じることはありませんか?
私も以前は、案件情報がメール、チャット、手帳、頭の中に散らばり、必要な情報を探すだけで15分以上かかることもありました。
- 案件を「ひとつのもの」として管理する発想転換
- 案件をタスクではなく、独立した情報の塊として捉えるアプローチ
- Notionのデータベース機能で情報を一元化
- 案件に関する全ての情報を1つの場所に集約し、素早くアクセス可能に
- 過去の案件を「資産」として活用する方法
- 完了した案件の情報から学び、新しい案件の品質向上に繋げるテクニック
- 業種別カスタマイズで実用性を高める設計術
- コンサル、制作、サービス業など、それぞれの業種に最適な管理システムの作り方
この記事では、「やること管理」から「案件管理」への本質を捉えた発想転換で、情報がすぐ見つかる案件管理システムの構築方法を解説します。
実際に使えるNotionテンプレートも無料で提供していますので、すぐに始められます。
Notionでその仕事もっと楽にしませんか?
DX支援サービスを見るなぜ多くの人の「案件管理」がうまくいかないのか

よくある案件管理の失敗パターン
案件管理がうまくいかないと感じている人の多くは、以下のような方法で案件を管理しています。
- TO-DOリストに「○○案件対応」と書いて終わり
- メールフォルダで案件を管理
- 頭の中で覚えておこうとする
これらの方法では、情報が散在してしまい、必要な時に必要な情報が見つからないという問題が発生します。
特に案件数が増えてくると、どの案件がどの段階にあるのか、過去にどんなやり取りがあったのかを把握するのが困難になります。
根本的な問題:管理する「対象」を間違えている
案件管理がうまくいかない最大の理由は、管理する対象を間違えていることです。
多くの人は無意識のうちに、以下のような管理をしています。
- 多くの人
- 「やること」を管理している(○○に連絡する、資料を作る、など)
- うまくいく人
- 「案件そのもの」を管理している(案件の全体像、履歴、関係者など)
この違いは一見小さく見えますが、実際の業務では大きな差となって現れます。
「やること」だけを管理していると、そのタスクが完了したら情報が消えてしまい、後から参照することができません。
一方、「案件そのもの」を管理すると、情報が構造化され、必要な時にすぐアクセスできる知識ベースとなります。
「やること管理」vs「案件管理」の決定的違い

身近な例で理解する2つのアプローチ
「やること管理」と「案件管理」の違いを、身近な例で見てみましょう。
この違いを理解すれば、なぜ案件管理の方が効果的なのかがすぐに分かります。
病院が「やること」だけを管理していたら、患者さんの過去の症状や治療歴が分からず、適切な診療ができません。
カルテという「患者そのもの」を管理するからこそ、継続的で質の高い医療が提供できるのです。
図書館が「貸す」「返す」という行為だけを記録していたら、どの本がどこにあるか分からなくなります。
一冊一冊の本を「もの」として管理するから、利用者が必要な時に必要な本を見つけられるのです。
なぜ案件は「もの」として管理すべきなのか
案件を「もの」として管理すべき理由は、案件には固有の「身元」があるからです。
それぞれの案件には以下のような特徴があります。
- 案件には固有の「身元」がある
(クライアント、内容、経緯) - 時間が経っても参照価値がある
- 複数の角度から情報を見る必要がある
このように、案件を「もの」として捉えることで、情報を体系的に整理し、長期的に活用できる資産へと変換できるのです。
次のセクションでは、この考え方を実現するのに最適なツールについて説明します。
なぜNotionが案件管理に最適なのか

従来ツールの限界
案件管理によく使われるツールには、それぞれ致命的な欠点があります。
これらの限界を理解することで、なぜNotionが最適なのかが見えてきます。
- チェックリストアプリ
- やること管理専用で案件の情報を保存できない
- メールやLINE、チャットツール
- 情報が時系列でしか見れない、検索しづらい
- ファイル管理
- 案件ごとの状態管理ができない
これらのツールでは、案件に関する情報が分散してしまい、全体像を把握することが困難です。
特に、案件の進捗状況と関連情報を同時に管理することができません。
Notionの3つの強み
Notionのデータベースの各行(レコード)は、実は「ページ」として機能します。
つまり、案件のタイトルだけでなく、詳細な情報、ファイル、履歴など、あらゆる情報を1つの場所に保存できるのです。
たとえば【案件A】のページには以下のような情報をまとめることが可能です。
- 依頼書PDF
- 進捗状況の記録
- 見積書
- 打ち合わせ議事録(議事録の詳細はこちら)
同じデータベースから、テーブル、ボード、カレンダー、タイムラインなど6種類のビューで表示できます。
これにより、状況に応じて最適な見方で案件を確認できます。
ビュー機能の活用例:
- カレンダービュー:今月の納期が一目で分かる
- ボードビュー:「企画中」「制作中」「レビュー中」「完了」などの進捗状況を可視化
- テーブルビュー:予算や工数など、数値データの一覧比較
情報の一元化の活用例:
- クライアントから「先月の打ち合わせの件について」と問い合わせがあった場合:
- 案件ページを開く
- タイムラインから該当の打ち合わせを特定
- 関連資料にすぐアクセス可能
これらの特徴により、Notionは案件を「もの」として管理するのに最適なツールとなっています。
次のセクションでは、実際にNotionで案件管理データベースを作る方法を解説します。
»Notionの使い方:初心者でも3日で使いこなせる完全ガイド

【基本編】シンプル案件管理データベースの作り方

「案件」を中心にした基本プロパティ設計
Notionで案件管理データベースを作る時、最初から複雑にする必要はありません。
必要最小限のプロパティから始めて、徐々に拡張していくのがおすすめです。
以下が、案件管理に必要な基本プロパティの設定例です。
- 案件の身元情報
- 案件を特定するための基本情報
■案件名(タイトル)
■クライアント(選択)
■担者(選択)
※クライアントや担当者が多い場合は、
別途データベースを作成してリレーション機能で紐付けると、より詳細な管理ができます。
» リレーションの解説はこちら
- 案件の現在状態
- 進捗管理とスケジュール管理のための情報
■進捗(ステータス:未着手/進行中/完了/保留)
■優先度・緊急度(選択)
■期日管理(日付プロパティ)
- 案件の履歴・情報
- 案件に関する詳細情報と記録
■対応履歴(テキストやコメント)
■重要な決定事項(ノート内)
■参考資料・ファイル(Files & media)
■備考・メモ(ノート内)
案件を「見つけやすく」するビュー設定
データベースを作ったら、次は用途に応じたビューを設定します。
同じデータベースから、異なる切り口で案件を確認できるのがNotionの強みです。
このような基本構造があれば、Notionの基本操作だけで十分に案件管理ができます。
次のセクションでは、この基本構造を業種に合わせてカスタマイズする方法を解説します。
【実践編】業種別カスタマイズで実用性UP

プロパティ追加の考え方
基本の案件管理データベースができたら、業種特有のニーズに合わせてプロパティを追加しましょう。
重要なのは、以下の2点です。
- 基本構造は変えずに必要な情報だけ追加
- 業種特有の「案件の属性」を特定する
では、実際の業種別カスタマイズ例を見ていきましょう。
コンサルティング業の場合
コンサルティング業では、案件の収益性を把握することが重要です。
想定工数と実績工数を比較することで、見積もり精度の向上や適正な価格設定に活用できます。
制作業の場合
制作業では、進捗の可視化と納品物の管理がポイントです。
修正回数を記録することで、今後の見積もりや契約条件の改善に繋げられます。
サービス業の場合
サービス業では、顧客との関係性を深める情報を管理します。
リピート可能性や次回提案内容を記録することで、積極的な営業活動に繋げられます。
カスタマイズのコツは、最初から完璧を目指さないこと。
データベース設計の考え方を参考に、使いながら改善していくのがベストです。
【発展編】案件情報を「資産」に変える運用術

過去案件を活用する3つの方法
案件管理の真の価値は、過去の情報を未来に活かせることにあります。
完了した案件も「ただの記録」ではなく、ビジネスを成長させる「資産」として活用しましょう。
例えば、「A社の案件はいつも修正が多い」「この種類の案件は想定より20%多く時間がかかる」など、データに基づいた判断ができるようになります。
過去案件の対応履歴を見返すことで、「あの時こう対応したらうまくいった」という知見を次の案件に活かせます。
チーム運用のポイント
案件管理を個人だけでなくチームで活用する場合は、以下の点に注意しましょう。
- 情報入力のルール統一
- 定期的な情報更新の仕組み
- 権限設定による情報保護
特に重要なのは、「情報を入力する文化」を作ることです。
週次ミーティングで案件レビューの時間を設けるなど、情報更新を習慣化する仕組みを作りましょう。
実際の現場で使用した案件管理テンプレート

理論だけでは不安という方のために、実際に運用中のシステムをベースにした案件管理テンプレートをご用意しました。
公開しているのは基本の骨組みです。
ご自身でカスタマイズする際は、「普段どんな順番で、どんな情報を、どのタイミングで確認するか」によって構築してください。

実際の運用では以下のような専用機能を搭載。
- 対応期日、完了日、緊急度
- リレーション(物件DB・入居退居管理DB)
- 担当ボタン、操作ボタン
- 自動名称設定(物件名と部屋を自動付与)
- 各種ビュー(担当者別、期日、検索用、スマホ用)
月に数十件の対応を効率的に管理されており、「現場で使えるNotion」として日々活用されています。
- 基本テンプレートの構成内容
- 案件名:何についての依頼・相談か
クライアント:依頼者の名前・会社名
受付日:案件を受けた日付
対応予定日:いつまでに対応する予定か
担当者:誰が担当するか
進捗:未着手/進行中/確認待ち/完了
案件ジャンル:分類用のジャンルを選択
対応履歴:やり取りの記録(後述の工夫あり)
問い合わせ番号:案件の識別番号
また、現場で使用して気付いた利点としてコメント機能が意外に便利でした(私自身ほぼ使わないので意外だった)。
時系列が自動で整理され、「いつ・誰が・何をしたか」が追いやすくなるので、試してみてください。
このテンプレートは骨組みとして作っていますが、本当に効果を発揮するのは、あなたの業務フローに合わせてカスタマイズした時です。
【実践編】で紹介したカスタマイズ方法もお試しください。
さらに詳しく「あなたの業務にピッタリ合うシステム」をお求めの場合は、個別のヒアリングをもとにしたDX支援サービスもご提供しています。
» DX支援サービス詳細はこちら
運用を継続させる3つのコツ

1. 完璧を求めすぎない
案件管理システムを作っても、継続できなければ意味がありません。
最初から完璧なシステムを目指すのではなく、シンプルに始めて徐々に改善していきましょう。
- 最初は基本情報だけでOK
- 徐々に情報を充実させる
- 80%の情報があれば十分価値がある
重要なのは、「全ての項目を埋める」ことではなく「必要な情報にアクセスできる」こと。
使いながら本当に必要な情報が見えてきます。
2. 入力を習慣化する
案件管理の成功は、情報入力の習慣化にかかっています。
以下のタイミングで入力することを習慣にしましょう。
3. 検索・活用を意識する
情報を入力するだけでなく、積極的に活用することで価値を実感できます。
以下のような場面で、まずNotionを確認する習慣をつけましょう。
- 困ったときにまず検索してみる
- 似た案件がないか定期的にチェック
- 月次で案件傾向を分析
案件管理は、続けることで真の価値を発揮します。
最初は手間に感じるかもしれませんが、3ヶ月続ければ情報資産としての価値を実感できるはずです。
まとめ:案件管理で変わる、ビジネスの未来
Notionを活用した案件管理は、単なる情報整理を超えて、ビジネスの成長を加速させる強力なツールです。
本記事では「やること管理」から「案件管理」への発想転換から、実践的な構築方法まで解説してきました。
案件管理システムの成功の鍵は、シンプルに始めて、使いながら育てること。
過去の案件情報が蓄積されることで、見積もり精度の向上、対応品質の向上、そして新たなビジネス機会の創出につながります。
しかし、実際の導入では「どこから始めればいいか分からない」「自社に最適な設計が知りたい」という課題に直面することもあります。
特に複数人での運用や、既存システムとの連携が必要な場合は、専門的な知識が必要になることも。
「自社に最適な案件管理システムを、確実に成果を出しながら構築したい」とお考えなら、ぜひDXサポートをご検討ください。
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